お金を貸す人 借りる人
お金を貸す人 借りる人―カード&ローン儲けのカラクリ 岩田 昭男 実業之日本社 2004-02 by G-Tools |
日本の長者番付に毎年のように名を連ねる消費者金融の社長達。なんでこんなに消費者金融ビジネスが儲かるのか興味があったので読んでみました。(ちなみに米フォーブス誌によると日本の番付トップは武富士元会長の武井氏。)
読んでみた感想ですが、消費者金融業者が儲かる仕組みはいたって当たり前のもので、たいして驚くような仕掛けがあるわけではなかったです。簡単に言ってしまえば、借入金利と貸出金利の差が大きいというだけのことです。
本書によると武富士・アコム・プロミス・アイフル・三洋信販の大手5社の平均調達金利(借入金利)は2003年度3月期で1.63~2.12%で、それに対して貸出金利が25~27%になっています。2%で銀行・生損保から借り入れたお金を25%で個人に貸し出せばそりゃあ儲かるのも当然です。
個人的に驚いたのは、クレジットカードのキャッシング金利が実は結構高いということです。その金利は18~29.2%と消費者金融並みです。クレジットカードの会員であれば、特別な審査もなくATMですぐ引き出せるキャッシングがこんなに高い金利なのを知っている人って少ないんじゃないのかな。
宮部みゆきの『火車』のテーマにもなっていましたが、このことが多くの多重債務者を生み出している原因の1つになっているようです。(ちなみに2002年のカード発行枚数は人口の約2倍、2億4459万枚となっています)
皮肉なことにこういった無担保の借入の世界は、お金を持っている人の方が低い金利で融資が受けられる仕組みになっています。収入が安定していない人ほど高金利で借りざるおえないというのが実態です。よく格差社会と言われるようになりましたが、その格差拡大に一役買っているのが「金利」のような気がしました。
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