「孫子」の読み方
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「孫子以前に兵書無く、孫子以降に兵書無し」
古くは武田信玄やナポレオンから、今日では現代ビジネスの象徴であるビル・ゲイツや孫正義に大きな影響を及ぼしたという「孫子」について興味があったので読んでみました。
「孫子」は1000年以上前の古典なんですが、ここまで現代に通用するような普遍的な戦略が書かれているとは思っていませんでした。孫子に書かれている「戦略の原理原則」は、古今東西で通用してきたものであり、今後も色んな分野で活用されていくんだろうなと思いました。
その原理原則の根底にあるのは、「合理性」です。全ての事に対して孫氏は合理的に考えて行動することを求めています。
この本では、「孫子」を近代の戦争や、戦国時代の戦という例を挙げながら解説してくれています。それがとても分かりやすかった。なぜあの時、あの国は敗れたのか?あの武将は成功したのか?孫子の原理原則に照らし合わせて説明されると説得力があって面白かったです。
興味深かったのは、著者(戦争経験者)が実体験から太平洋戦争・日中戦争での日本の戦略がどれだけ馬鹿げたことだったかを、指導者の戦略ミスという観点から解説してるところです。日本軍は、孫子の求める「合理性」とはかけ離れた「精神論」万能主義によって、上層部からの実行不可能な命令とその強制によって作られた虚像の上に成り立っていたという話です。
企業や国家において、経営者や指導者の手腕がいかに大切かが分かりました。
以下、参考になった点。
「彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず。」
「善く戦う者の勝つや、智名無く、勇功無し」
一個人の一生涯の体験はたかが知れている。その点、古典を読めば、何千年かの人間の体験を追体験することが出来る。何かにつまずいたとき、それが一度体験したことなら、人間は驚かず迷わず活路を見出せる。