投資方法と、それについての考察(銘柄選択編)

投資とは何か?

私は「投資とは、投下資本以上の価値のものを手に入れる行為である」と考えます。そのため、株価が企業価値に収斂することを前提にすれば、企業の価値を正しく把握することが株式投資の成功要因になると考えられます。企業の価値とは、その企業が将来にわたって生み出すフリーキャッシュフローを、一定の率(WACC)によって割引いて、それを現在価値で評価した合計です。

不確定な将来のフリーキャッシュフロー、実際にこれを正確に計算するこは難しい。そこに「企業価値の不透明性」が存在することになります。将来のフリーキャッシュフローの計算は、それを計算する投資家の「期待」(成長率などの定数の設定)によって大きく結果が異なることになります。

株価を高めるには

企業が株価を高めるためには、WACC(株主や債権者に支払うコストを加重平均したもの)を上回る利益をあげなければなりません。ここで仮に企業がWACCを上回るリターンを上げたとします。債権者へのリターンはもうすでに借入金利として決まっているのですから、WACCを上回った超過リターンは全て株主に還元されます。企業はWACCを上回る利益を上げてはじめて、株価を高めることが出来ます。
※これは板倉雄一郎さんがよくおっしゃられている企業価値創造の根源、ROIC-WACC=SPREADと通じるものがあると思うので、詳細はそちらを参照して下さい。

超過リターンの源泉

投資家の期待が高まり、PERの水準訂正が起こるような株価の上昇が、超過リターンにつながります。企業の増益率そのものがリターンをもたらすのではなく、実際の増益率と市場の期待との格差が超過リターンの源泉になります。

そのことに着目して私は、「事業の価値が正しく評価されていない企業」に投資することが最も重要であると考えます。なぜなら、DCF法の計算方法やWACCの性質により、企業価値と「期待」は密接に関係してるからです。 「事業の価値」、そこに着目する点が、企業が保持している資産に着目する資産バリュー株投資や、企業の高い成長力に着目するグロース株投資との違いです。

効率的な市場で、正しく評価されていない銘柄が存在する理由

では、効率的な市場において、実際にそのような企業が存在するのか。私は存在すると考えています。少し話は脱線しますが、私は効率市場仮説を信じています。正確には、市場は「弱い効率市場仮説」(補足1)で説明できると考えられます。多くの機関投資家、アナリスト、個人投資家がカバーしている株価はその時点での全ての情報を織り込んでいる適正な価格であって、市場を出し抜くことはできないと考えるのは正しい。

しかし、市場に出回っている全ての銘柄が機関投資家やアナリストなどにカバーされているとは思いません。実際、大手証券会社などは時価総額が数百億円以下の企業は投資対象から外しているそうです。そのため、私は「事業の価値が正しく評価されていない企業」というのは、小型株の中に存在していると考えています。

そういった企業を見つけ投資することで、企業の成長と利益の再投資による複利の力の恩恵を受けるだけではなく(EPSの伸びと複利の効果)、将来に生み出すCFの見直し(期待の高まりによるPERの水準訂正)による株価上昇が望めると考えています。

どのようにしてそういった企業を見つけるのか?

私は、気になった事業を行っている企業の四半期ごとの進捗率を見ることが重要であると考えます。進捗率から通期の決算を計算して、その結果を会社予想や四季報予想と比べる。そして、その二つの間にどの程度、乖離があるかを見る。乖離が大きいということは、会社自身が想定していたより、そして、市場が期待していた以上に事業が好調であるということを表しています。その事業の好調さが一時的なものではなく、一年を通して続く見込みがある企業、これを「事業価値に対して割安な企業」とし投資します。上方修正を繰り返す企業は大注目です。(理想は、四半期ごとに売上高が伸びているだけではなく、利益率も向上し、加速度的に利益が増している企業です。)そして、企業の上方修正や四季報の増額修正などのカタリストによって、事業の価値(そしてそれに伴う企業の価値)が見直されるのを待つ。。

(補足1)
「弱い効率市場仮説」の話ですが、上方修正が進捗率から計算してほぼ確実であるのに、実際に上方修正が発表されたとき、もしくはその直前になって株価が上昇するのは「効率市場仮説(セミストロング?)」の下では説明できません。これが何故起こるか考えたら面白いと思います。それは、市場に関わるみんながその情報(この場合、四半期の進捗率の情報)を認識していないからでしょう。ようするに情報コストが思っているより大きいのです。全ての人に均等に情報が行き渡れば、瞬時にその情報は株価に織り込まれるはずですからね。情報コストが思いのほか大きいので、情報が浸透するのに時間を必要とする。すると、決算に向けて徐々に株価が変動する。そして、上方修正で一気に情報が伝わる。するとミスプライシング(バリューギャップ)は解消される。こういったことから、私はチャートを分析することもファンダメンタルズを分析するのと同様に重要であると考えています。ファンダメンタルズの変化とチャートには大きな関連性があるからです。また、自分が気がついたバリューギャップがどの程度残されているか(銘柄を分析した時期の問題)、要するに、株価にどの程度その情報が織り込まれているかを分析する上でもチャート分析は必至であります。

(あとがき1)
時代や環境によって、適切な投資方法が異なることは成長株プレミアムや割安株プレミアムが通用した時代が異なることなどから歴史が証明しています(参照:ウォール街のランダムウォーカー)。上記に書いた投資方法が一生通用するものであるとは考えていません。しかし、この景気拡大局面においては、最も有効な投資方法なんではないかと「今は」考えています。そして、日本の市場がアメリアのそれと比べるとまだまだ非効率で歪んでいる点などを考慮すればチャンスは大きいと考えています。

(あとがき2)
上記に書いた「有効な投資方法が時代によってことなる」ことですが、近年、タワー投資を筆頭に小型株に目をつけたファンドが進出してきています。こういった、優秀なファンドの進出によって時価総額が小さい銘柄の市場の非効率さや歪みも無くなってしまうんではないかと考えています。逆に言えば、今の時点ではそういった優秀なファンドが狙っている銘柄に目をつけることも有効な投資方法ではないでしょうか。いつまで通用するかは分かりませんが…

(あとがき3)
今回のエントリーは主に「銘柄選択」に焦点を当てて書いていますが、それは投資において重要なポイントの一つにしかすぎません。チャートや出来高や信用残高などから、需給の状態を把握することや、投資家の心理を読むことなども重要なポイントです。これらについては後々、書いていこうと思っています。

(あとがき4)
今回のエントリーで書いたことは、私がmixiの「中長期投資で資産を増やす」というコミュニティーで主張したことをまとめつつ補足したものになっています。まだまだ勉強不足な点が否めないと自覚しておりますので、感想や、気になった点や、反論をBlogのコメントかmixiのメッセージで頂けるとうれしいです。


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    • 「無知による機会損失は計り知れない。」

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      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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