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Harvard Business Review創刊30周年を記念して戦略論の特集が組まれていたので買ってみた。創刊記念というだけあって、歴史に名を刻んだ名教授たちのそうそうたる論文が掲載されている。論文は以下のような内容。(これで2000円なら大変お買い得だと思う。)
- ハーバード・ビジネススクール 教授 マイケル・E・ポーター『競争の戦略』
- ハーバード・ビジネススクール 教授 マイケル・E・ポーター『競争優位の戦略』
- マギル大学 教授 ヘンリー・ミンツバーグ『戦略クラフティング』
- アライアント・インターナショナル大学 特別教授 H・イゴール・アンゾフ『企業戦略論』
- ハーバード・ビジネススクール 名誉教授 アルフレッド・D・チャンドラー『スケール・アンド・スコープ』
- ミシガン大学教授 C・Kプラハラッド / ロンドン・ビジネススクール教授 ゲイリー・ハメル『コア・コンピタンス経営』
- ビジネス・ブレークスルー大学院大学 学長 大前研一『競争は戦略の目的ではない』
読んでみて、ちょっと変な感覚になった。というのも、論文はどれも素晴らしいもので古今東西の経営者に多大な影響をあたえ続けている論文なのだろうけも、それらを読めば読むほど「競争戦略なんて必要ないんじゃないのか?」と思うようになったからだ。今回はその辺について今の自分の考えを書いてみる。
歴代の戦略論の巨匠たちには申し訳ないけど、僕は「戦略論(特に競争戦略)を語るようになったら、その企業は負け」だと思っている。ミンツバーグが言うように、戦略というものは安定性と連続性を求める。常に変化する市場を相手に戦うのであれば戦略自体も自然に変化または革新されることが望ましい。その観点から見れば、「戦略をどのように変化させるか」といった戦略が重要になってくるように思うが、そもそも「戦略なんて必要ない」と考える方がまともな発想のように思える。
大切なことは、企業活動は他社との競争に勝つことが第一目的であってはならないということ。企業活動の本来の目的を考えれば分かるように、企業が「戦略」に大きな時間とコストを費やすことは愚かなことなのだ。つまり、企業が戦略論に頼るようになったらその企業は負けなのだ。
今回の戦略論特集の中でも一人異彩を放っている大前研一は次のように言う。
戦略プランニングにおいて競合他社の存在を考慮するのは当たり前だが、必ずしも最優先事項ではない。・・・すなわち、戦略は顧客第一主義に基づいて立案されなければならない。そして、ライバルを相手にその成否を試すのだ。・・・ライバルに対抗する戦略を全面的に否定するわけではないが、それだけでは受身になる。・・・最優先すべきは、顧客価値を創出する戦略なのだ。
そう、大切なことは顧客価値を創出することなのだ。言い換えれば、顧客の視点から見て良い商品・サービスをいかに提供するかということになる。例えば、任天堂やAppleやGoogleが素晴らしいのは「競争に強い」からではなく、「大きな顧客価値を創出している」からだろう。それらの企業が現状でライバルに勝っている要因は、戦略にあるのではなく、商品・サービスにあるのだ。この流れに沿って言えば、重要になってくるのは「いかに顧客価値を創出するか」ということになる。
いかに顧客価値を創出するのか―。これはとても難しい問題である。その難しさは、大学教授が過去を分析してそこから答え導き出す作業の比じゃない。例えば、プラハラッドとハメルの論文『コア・コンピタンス経営』には「戦略におけるコア・コンピタンスがいかに大事であるか」ということが過去の事例を紐解きながら説かれているが、では一体、「将来におけるコア・コンピタンスは何になるのか」といったことには触れられていない。このようなことから、過去を分析するのと違って、将来を予想することはとても難しいことだということが分かる。(そのことは『イノベーションのジレンマ』を読めば理解できる。)過去を分析したところで得られるものは過去の解釈学でしかない。大切なのは未来なんだ。そんなことを思いながら本書を読み終えました。
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