企業が変わるデザイン戦略経営入門
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昨今、活躍している企業の多くが、製品イメージはもちろんのこと、企業イメージなどにも大変力を入れていることが分かる。特にGoogleやAppleなんかはその製品のスペックには現れない部分、つまりデザインやユーザビリティといった目に見えない部分に多額な投資をしている。経営におけるデザインの重要性が高まっているのだ。
商品やサービスのヒットと、デザインの関係を見てみるといくつかのパターンがあり、デザインの果たす役割が大きくなっている。そのため、デザインの問題に直接関与しないまでも、経営者にもデザインを理解するマインドは必要である。デザインに対する積極的な投資や活用を喚起するための1つの方法として、デザイン戦略経営がある。
しかし、デザイン戦略を経営戦略に融合させる場合に、具体的にどのように行うかが疑問として出てくる。経営サイドから見ると、デザイナーは経済的なセンスがないように見えるだろうし、一方、デザイナー側から見ると、デザインの分からない経営者にデザイン戦略を策定されるのはたまらないといった感覚を抱いてしまう。
実際には、経営戦略会議にデザイン戦略を具体的に、同時に大所高所から検討できる人が加わり、戦略を策定することが望ましい。現在は多くの企業で決定された経営戦略がデザイン部門に提示され、それを基にデザイン戦略を展開する形となっている。
デザイナーは超然としているものではなく、文化や社会の動向をよく見極め、企業経営の中でいかにその知見を具体化するかが仕事である。そのためには、特に企業経営の仕組みを理解し、経営的な側面から見ても常に成立することが求められることに注意しなければならない。今後は特に低成長時代を迎えて、目先の変わったデザインではなく、本質をついた、本物のデザインが求められる時代となってくるだろう。