性善なれど怠惰な人を前提に経営を行う『戦略参謀』

戦略参謀―――経営プロフェッショナルの教科書
戦略参謀―――経営プロフェッショナルの教科書稲田 将人

ダイヤモンド社 2013-08-30
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元マッキンゼーの方が書いた会社変革のストーリー本。三枝さんの本が好きな方は読んでみるといいかも。下記は勉強になった部分の抜粋、特に本書に何度も登場してくる「人、性善なれど、怠惰なり」というフレーズは自分の経験とも合致していてとても参考になった。

企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮設を立て、実行案を組み立てるという一連の動作のこと。

事業の発展とともに会社は成長し、組織の分業が進む。世の中で組織論と言われるのは、分業のための方法論だ。よって、会社の発展に伴い規模や業態によって、適用すべき方法論は変化してくる。

PDCAは、状況に応じた修正行動をとるための基本動作でもあり、企業にとっての学習行動。PDCAお回せない会社は学習できない、つまり企業の能力が高まっていかない。文化をつくっていく必要がある。

PDCAが回っていない理由は、いくつか挙げられるが、その根にあるのは「人、性善なれど、性怠惰なり」ということ。人というのは、別に悪気はないが、つい楽をしたいとい安易な方向に走りがち。PDCAを精度高く、高速で回すためには、自分たちを律していく真摯な姿勢が必須になる。PCDAの実施に当たっては方法論もさることながら、その真摯な努力を育む環境づくりが重要。

会議体の機能は、大きく分けて、意思決定・ブレスト・伝達と周知徹底の3つのうちどれかか、あるいはそれらの組み合わせになる。

慈悲(菩薩)のやさしい顔だけでは人は救えないことがある。そういう追い払えないものを人間の心は持っている。その部分に向いているのが明王。きちっと叱って導く、つまり正しく成長させる。慈悲と怒り、この2つの要素が人を導いていく制度の中に必要。方向性を示し、よかったと褒め称え、道を外したら厳しく対応して正す。この2つの制度が反映された制度が必要。

不振企業を見ると、甘やかされた環境とまでは言わないまでも、事業に対する真摯な厳しさが失われ、エゴイズムの蔓延や要領のよさがはびこり、頑張ったふりの上手さが横行している場合がある。上のリーダーシップが弱まったとき、その下ではエゴイズムが頭をもたげる。歴史を見ても、国のリーダーシップが失われたときに国が荒れるのもそのため。「人、性善なれど、怠惰なり」。つい保身に走ってしまうのは人間の性。それを全体最適に持っていくのがマネジメント。

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    • 「無知による機会損失は計り知れない。」

      機会損失とは、仮にある行動を取っていたら生まれたであろう利益を享受できない損失のことを言う。

      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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