Web2.0 BOOK

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小川 浩(サイボウズ株式会社) 後藤 康成(株式会社ネットエイジ)


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梅田望夫さんの「ウエブ進化論」でも話の中心になっていたWeb2.0。この本はそのWeb2.0をより具体的に技術的な面から解説しています。なので、興味がない人は読んでもつまらないかも。誰もが読んで面白いと感じるのは「ウエブ進化論」の方なので、おススメはそっちの方です。

本書によると、Web2.0的サービスの条件を以下のように挙げています。

1.サービス提供者である。
パッケージソフトではなくサービスを提供している。ここで、興味深いのは、パッケージソフトのバージョンアップは断続的なのに対して、Web2.0的サービスは永遠のベータ版であり、常に連続的に改良が行われていくという話。

2.データソースをコントロールできる。
ユーザー数の拡大に応じてデータの価値が増すのはWeb2.0の特徴だが、できるだけ多くのデータを取り扱い、付加価値をつけられることが大切。

3.ユーザーの無意識な参加を促す。
ユーザーを信頼し、ユーザーからのフィードバックを開発に反映していること。

4.集合知を利用する。
ユーザーが作り出す情報の全体をデータベース化していること。

5.ロングテールを理解する。
ニッチな市場を対象としたビジネスモデルを構築していること。

6.プラットホームを選ばない。
PC、携帯、などの複数のプラットフォームでサービスを提供していること。OSの区別もない。

7.リッチで軽い。
AjaxやLAMPなど、オープンソースの技術を多用し、再利用されやすい形式でサービスを提供している。使いやすさと低コストを両立していること。

Web2.0の特徴は、どのサービスもユーザーの自主性、独自性を利用して、ユーザーが自動的にデータを増やしてくれる仕組みを用いた点です。これらのサービスはユーザーがそれを利用することによって、ユーザーのデータを収集し、波及的にサービスの価値が高まる仕組みを構築している。つまり、ユーザーが開発者でもあるのです。ここが凄い面白い。Web2.0の本質には、梅田氏やグーグルのCEOが言っているように、「民意に依存して群集の知を編成する"民主主義"」の性格があるんでしょう。

そして、開発者でもあるユーザーの貢献がもたらすネットワークの効果が、市場シェアを広げるための優位性を獲得する鍵ともなっているということらしい。確かに、mixiなんかはいい例だと思います。GREEとmixiの勝負ってやっぱり「サービス開始直後に人をどれだけ集められたか」で決まってしまったんだろうし、ここからユーザー数でGREEが逆転することは相当なことがない限り無理でしょう。

アルビン・トフラーさんという偉い方が、「プロシューマー(producerとconsumerの合成語)」(参照)というように今の世界を予言されていたようですが凄いですね・・・。群集の知を、付加価値にして他サービスと差別化を計るという戦法は、これからどのビジネスで多用されていく気がします。そういった意味においても顧客中心主義ってのは、消費者主権の世の中になっていくにつれて次第に重要度を増していくんではないでしょうか。

最後に私が愛用してるWeb2.0的なサービスを紹介して終わりにします。今回は初心者でも簡単に使えるものを中心に紹介してみたので、是非一度はご賞味あれ。

mixi・・・今や、このブログを読んでる人なら誰しも知っているサービスだと思います。日記とRSSリーダーが合体したようなサービス。紹介文の機能なんかはユニークで面白い。

Googleローカル・・・グーグルが出した画期的な地図サービスです。ホントに凄い。しかも最近気がついたんだけど、「吉祥寺 cafe」とかで検索するとホントに吉祥寺の地図が表示されて、そこにはcafeがポイントされています!マジで凄いし便利。リクナビの地図なんかより全然使いやすいので、住所が分かったらグーグルのこのサービスを使いましょうw

Flickr・・・写真家や絵描きには必至なサービスだと思います。使い勝手も抜群。暇な時間に世界中から集められた写真やイラストを見ているとまるで世界旅行をしている気分になりますw初めて知った方は、写真家ならずとも一度、世界旅行を楽しんでみて下さい。おススメはアフリカの写真と各国の夜景です。例えばアフリカの写真であれば、タグの機能を使ってキーワード「africa」と入れればすぐに感じはつかめるはず。

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あーGoogleの地図はすげーなーw
俺も活用しまくってます

Web2.0 BOOKの感想

Web2.0 BOOK著者の後藤です。Web2.0 BOOKの感想ありがとうございました。
私のブログで引用させていただきました。

あ~。
借りればよかった。
両方買っちゃったよ。
でも、まだこっち読んでない。
本がたまる。

>ルフへ

グーグルの地図すげぇよ。
「サテライト」で見ると、気持ち悪いw

>後藤康成 さん

初めまして。本の著者が自らコメントしてくださるなんて光栄です。ありがとうございました。

>keizouへ

両方買ったのかw
どんまい・・・

明晰で簡潔な文章。すばらしいですね。

アルビン・トフラー博士のプロシューマー論はなつかしいのですが、では、現実にそうなっていくか。と、考えると、私はそうは思っていません。それは、にがりを入れないとお豆腐は固まらない。そんな感じでしょうか。
つまり、消費者がものをつくるようになるといっても、消費者はそれぞれの生活があり、そのまま生産することはできない。

ならば、消費者をインテグレートするようなシステムや組織やリーダーシップ的な役割をする消費者もしくは生産者の一部分の存在が不可欠だと思うのです。

私は、そういうラルフ・ネーダー的な、マーサ・スチュアート的な存在が生まれてくることが必須で、そういう存在が、同じような水先案内人の誕生を触発するようにならねば…。と、感じております。

そして、そういうムーブメントが起きない。それが残念です。

>スポンタさん

初めまして。コメントありがとうございます。

アルビン・トフラー博士のプロシューマー論に関してですが、確かに、彼が言おうとしたこととは少しずれているかと思いますが、それを承知で載せました。ウェブ上で「プロシューマー」なんて概念が出てきたのはWeb2.0の変わった特性のせいですからね。そこが画期的で面白い、ということが言いたかっただけです。

>そういうラルフ・ネーダー的な、マーサ・スチュアート的な存在

>そういうムーブメントが起きない

「そういうムーブメント」という言葉を「消費者主権で波を起こす」と理解しましたが、そういったものは少しずつ起こっていくんでしょうかね。最初は小波かもしれませんが・・・

>「そういうムーブメント」という言葉を「消費者主権で波を起こす」と理解しましたが、そういったものは少しずつ起こっていくんでしょうかね。最初は小波かもしれませんが・・・

一番の問題は、一介の主婦だったマーサがムーブメントを起こしたとたんに、エスタブリッシュになってしまい、消費者でなくなることなんですよ。だから、そういう小さな波から動かしていくのではなく、まず、システムを構築すべきだと思うのです。

そして、それは唐突なことではなくて、出来ている部分もある。たとえば、フランスのミシュランガイドは、ふんぞり返った老舗レストランを瓦解させたわけですが、そういうムーブメントを作らなければならない。

日本でも、たとえば、「みんなの就職活動日記」などは、すでに就職市場における消費者主権を起こしているといえるのではないでしょうか。

私はブログが消費者の意見を表に出すことに一役買うのかな、と期待していたのですが、結局のところ、インテグレートの役割をするものがないと機能を発揮しない。

いま、さまざまな技術で情報がインテグレートされているようですが、そうしてインテグレートされたものをオーソライズするものがない。そこが問題だと思っています。

47歳のおじさんの現状認識なんだけど、どうっすか。ねぇ…?

>スポンタさんへ


>私はブログが消費者の意見を表に出すことに一役買うのかな、と期待していたのですが

ブログはそのような役割を十分に担っていると思いますよ。商品のマーケティングのにもかかせない要素として注目されているそうですし、ブログの評価を気にする企業ってのも多いと聞きます。

>、「みんなの就職活動日記」などは、すでに就職市場における消費者主権を起こしているといえるのではないでしょうか。

みん就よりも、口コミサイトの「アットコスメ」や「価格.com」の方がそのような主旨(消費者主権の流れ?)で活躍してる気がします。みん就はどちらかというと、ただの情報交換掲示板みたいな感じですから。


>スポンタさん

スポンタさんすみません。誤って、コメントを削除してしまいました。他意はありませんのでご了承ください。以下は、そのコメントに対する返答です。

>それに比べて、みん就は、人事採用担当者が、それを見て、採用対応を変更するという(日経新聞の取材が正しいとすれば)。

そのようなことがあったのですね。知りませんでした。スポンタさんの言う「経営体制を変えるほどの変革」でしたら、口コミ掲示板よりみん就の方が、影響力は大きそうですね。

でも、みん就で書かれる「企業の新卒採用に対する姿勢」と、口コミ掲示板で書かれる「企業の商品に対する姿勢」も観点は違いますが、その影響力の大小を比べる問題ではないですね。

大事なのはWeb2.0的なサービスが
「ユーザーのデータを収集し、波及的にサービスの価値が高まる仕組を構築していること」

であって、

「ユーザーのデータを使用するのも、それを蓄積するのもユーザー自身である」

ということがこのエントリーでは言いたかっただけです。

その仕組みを企業がどう活用するのか、また、その仕組みが今後どのような影響を社会に与えるのかという問題は、スポンタさんのおっしゃるように、もう少し深く考察する必要がありますね。

受け手は選ぶことしかできない。

コメントの削除の件、問題なしですよ。私はコメント欄をコミュニケーションツールと考えてますから…。別にログにこだわってもしょうがいですよね。(^o^)

>「ユーザーのデータを使用するのも、それを蓄積するのもユーザー自身である」

そういうことですか。勿論、それは当然のこととして理解するんだけど、別にそういうのって、インターネットでなくても、時間はかかるけど、マーケットの論理で、淘汰されていくと思うんですよ。

私がいまの状況について思うのは、消費者(情報の受け手)は、与えられたメニューの中からしか、選択できないということなんです。つまり、新製品の欠点をあげつらうことはできるけど、画期的な新製品は生み出さない。
とはいえ、新しいメニュー(商品)を自分でつくることは、消費者が生産者になることであって、消費者が何かをつくることではない。とすれば、そういう消費者主導のメディアを創出しなければ、いかんしょ。
な、感じなんですよ。

そういう感慨からすれば、多メディア化がすすんでいる現在において、情報通信もマーケットの論理が働いている。放送、通信などといっているけど、実際は、マーケット情報と非マーケット情報でしかないのかもしれない。そんな思いもあるんです。

まぁ、そんな感じなんですが、この議論はこれくらいにしまして、次にいきましょうか…。

楽しく情報交換ができていてうれしいです。(^o^)


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