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周りの人をほんの少しだけ幸せにする
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美しい淡いブルーの表紙に魅せられて衝動買いしてしまいました。郊外に住むフツーの家庭の陰陽を6人の異なった視点から描いた作品です。
「何事もつつみかくさず、家族で分かち合おう」
そんな誠実で潔い京橋家のモットーが、逆に物語の陰湿な面を強調している気がします。
はたから見れば一つの家族。だけど家族一人一人の目にそれは全く別のものとして映っている。当たり前のことなんだけど、忘れがちなんだよなぁ。そういうことって。
ただ、そのことを家族を構成する当の本人達は気がつかない。著者の手を借りた私達読者のみが知ることが出来る。(ここら辺が、この小説の醍醐味だと思います。)
そもそも家族って一体なんなんだろう?登場人物の1人はこんな風に言っています。
家族ってのは電車に乗り合わせるようなもの。こちらの選択権のない偶然で一緒になって、よどんだ空気のなか、いらいらして、うんざりして、何が起きているのかまったく分からないまま、それでもある期間そこに居続けなければならないもの。
これをどう感じるかは人それぞれだと思うけど、家族ってのは実態のないものってのは確かなことだと思いました。
ちょっぴり暗いムードで語られるこの作品を読むと、家族ってのは空中に浮かぶ庭園のように幻想的で脆いものなんだよってことを否が応でも認識させられます。