経済学の歴史

4478210136経済学の歴史―いま時代と思想を見直す
ジョン・ケネス ガルブレイス 鈴木 哲太郎
ダイヤモンド社 1988-03

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過去の歴史が現代におよぼしている影響は計り知れない―。

これはこの本を読みながら思ったことです。そうであれば当然、過去を無視しては現在を理解することは到底出来ないということです。「過去の多くのもの」が現在にも残っていて影響を与え続けているのです。

本書はかの有名な経済学者ガルブレイスがその「過去の多くのもの」について綴った著書。

古代ギリシャのアリストテレスから始まり、キリスト教、中世哲学、アダム・スミス、マルサス、セイ、リカード、マルクス、マーシャル、ケインズ、シュンペーターなどの経済思想を歴史をたどりながら解説した本です。

特にアダム・スミスが『国富論』を刊行してから今日にいたるまでの200年においては、価値論・分配論が話の中心になっています。それはすなわち、財・サービスの価格がいかに決まるか、その結果として所得・利潤がどのように分けられるかという話です。

経済学の歴史とは、長い時間をかけて数多くの人々がそれらの問題に挑んだ歴史です。それは言うなれば社会における真理(=最適なシステム)を探る長い旅とも言えそうです。

その旅に終着点はあるのか?

大変興味深い上の問いに関してケインズはこう予言しています。

「紀元前2000年ほど前から18世紀まで人々の生活に大きな変化はなかった。それに対して18世紀以降は急激に変化した。そのことに着目し未来に目を向けるならば、経済問題は人類の永遠の問題ではない。」

しかし、彼の死後60年経った今の現状を考えるとその予言は完全ではなさそうです。そうなってくると本書の最後でガルブレイスが示したとおり、

「経済学は最終的かつ不変のシステムを完成することにかかわっている、と考える向きも少なくないが、決してそうではない。経済学は変化に対してたえず適応しているのである」

と考える方がしっくりくる気がします。

とても肉厚な本で、読むのに2週間くらいかかってしまいましたが勉強になりました。

最後に、特に気に入った一文をアダム・スミスの有名な一節から抜粋します。

「われわれが夕飯を得ることが出来るのは、肉屋、酒屋、パン屋の慈悲によるものではなく、彼らが自らの利益を尊重することによる。われわれは彼らの人間性に訴えるのではなく、彼らの自己愛に訴えるのだ。」


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    • 「無知による機会損失は計り知れない。」

      機会損失とは、仮にある行動を取っていたら生まれたであろう利益を享受できない損失のことを言う。

      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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