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スモールワールド・ネットワーク

スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
ダンカン ワッツ Duncan J. Watts 辻 竜平


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友人関係から社会の構造、病気の流行や金融危機まで世界のありとあらゆるものはネットワークとして見ることが出来るというお話。

世界をネットワークとして捉えれば、僕らは多くの人と意外にも短いチェーンでつながれていて、「スモールワールド」すなわち小さな世界に住んでいることが分かる。そこでは、(そのことを知っているどうかに関わらず)人々は互いに影響し合って生きているのである。

本書は複雑な世界のシステムをネットワークの観点から読み解こうとしたものです。話は物理学、化学の枠を超えて、社会学、経済学、経営学にまでおよびます。そのため少し難しい面もありましたが大変面白かったです。以下、印象に残った2つの話を要約してみました。

◇金持ちはより金持ちに
スケールフリーネットワークはいたるところで見ることが出来る。その特徴として言えることは、「ほとんどの点は比較的結合が乏しいが、少数のハブは非常に高度に結合している」ということだ。しかも、そのネットワークはたえず進化していく。

具体的な例で言えば、アメリカ合衆国の富の分布のことが言える。アメリカの富の分布は、正規分布ではなくてベキ法則に従うようになっている。ようするに、大変多くの人が比較的小さな富に甘受しているのに対して、ごくわずかな少数の人が巨万の富を得ているということだ。

以上のようなことを踏まえて著者は『マタイによる福音書』から次のような文を取り上げている。

「おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう」(マタイ福音書第13章12節)

スケールフリーのネットワークが「進化していく」という見方をすれば、今後も富の分布は正規分布では説明できない方向に進んでいくのかもしれないと思いました。

◇社会的ジレンマ
金融市場において周期的にバブルとその崩壊が起こることから、強欲と不安が人間には普遍的に存在すると考えられる。それは、われわれが個人の意思や賢さ、学習だけではどうにも避けられないようなものがあることを表している。

それは「協調」というものが人間行動のありふれた特質の一つであるからだ。この協調行動の起源に関して考えてみるとそこにはパラドクスが存在することが分かる。そのパラドクスとは、「人間は利己的であるのに、他人の利益になるおこないをする際それが本質的には自己犠牲を伴うにもかかわら利他的に振舞う」というものである。

そういった話は社会的ジレンマといわれ、集団の利益が成立するためには、集団を形成する個々人が利己的な選択肢ではなく、利他的になって公益に貢献する選択肢を選ぶ必要があるといった話によく用いられる。その具体的な例として生物学者ギャレット・ハーディンの「共有地(コモンズ)の悲劇」を取り上げる。(以下、wikiからの抜粋)

「たとえば、共有地(コモンズ)である牧草地に複数の農民が牛を放牧する。農民は利益の最大化を求めてより多くの牛を放牧する。自身の所有地であれば、牛が牧草を食べ尽くさないように数を調整するが、共有地では、自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やしてしまい、自身の取り分が減ってしまうので、牛を無尽蔵に増やし続ける結果になる。こうして農民が共有地を自由に利用する限り、資源である牧草地は荒れ果て、結果としてすべての農民が被害を受ける。」

これらの社会的ジレンマの話は、現実世界の悲劇を彷彿させる。この流れで言えば、長引く無益な戦争や環境破壊などは哀しくも、われわれ自身の意思がもたらした結果なのである。バブルの形成と崩壊と同じように、それは、われわれ個人が自分だけの意思決定は出来ても、同時に他者の意思決定によってもたらされる結果にどうしても影響されてしまうという難問なのである。

◇感想と考察
ランダムグラフ、スケールフリーネットワーク、6次の隔たり、べき乗分布などの話は以前に読んだバラバシの『新ネットワーク思考』と重複していましたが、社会に対する新しい見方を提供するとい面ではとても素晴らしい本だと思いました。上記に抜粋した以外にも、成功者の偶然性の話や、イノベーションにおけるキャズムの理論、組織における階層構造の問題点といった話は面白かったです。

友人関係に始まり、会社との関係から格差社会の問題、さらには世界の貧困の問題まで、さまざまな事柄がネットワークの枠組みの中で語ることが出来るというのはとても斬新に感じられます。Web2.0にしてもそうですが、ネットワークについての考え方の重要性は今後増していくんじゃないかなと思いました。

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      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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