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経済物理学の発見

経済物理学の発見経済物理学の発見
高安 秀樹


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「そもそも経済学を支えてきた理論のかなりの部分が実証されていない」ために「現実とその理論との矛盾が沸き起こっている」という話から本書は始まります。

著者の言うとおり経済学の理論には、需要と供給の法則にしかり効率市場仮説にしかり、その仕組みの内部がブラックボックスになっているようなものが多い。また、現実に起こっている現象を理論で説明できないことも多く、そういったとき経済学では「理論は正しく、間違っているのは市場のほうだ」という考え方が主流であった。

そういったあやふやな経済学に対抗するために生まれたのがこの経済物理学(エコフィジックス)である。経済物理学とはカオスやフラクタルといった物理学の手法を使って従来の経済学が説明できなかった現象を仮説検証しようとする学問のことをいう。

その経済物理学の研究成果として印象に残ったものの話を挙げると以下のようなものがある。

  • 売買取引には微小な誤差を拡大するカオスのしくみが内在しており、需要と供給がつりあって市場の価格が安定することはない。
  • 市場の価格変動を大きくするのは、ディーラーが過去の価格変化に追随して先読みをする効果であり、バブルはこの効果が強く働いた結果生じる。
  • 上の2点の効果のために、市場価格の変位の統計性はブラック・ショールズの理論が仮定するよりも大きな裾野を持つベキ分布にしたがう。

上記のように「需要と供給がつりあって市場の価格が安定することはない」と説く著者は、市場における価格決定の仕組みを物理学の相転移の話を使ってこう説明する。

「ふつう相転移点というもは不安定な状態なので、ちょうど相転移点を維持するのはとても難しい。(中略)前章で確認したような市場における価格変位のベキ分布の性質も、相転移現象における臨界点特有の性質として理解することができます。需要が超過している状態と供給が超過している状態の境目に自由市場があるとみなすのです。(中略)そこには臨海的な大きなゆらぎが内在し、ベキ分布にしたがう大変動を必ず伴うことになるのです。」

(ここからは個人的な考察です)

市場価格というものは相転移の中にあり大きなゆらぎが内在してしまう、という上の話はソロスの再帰性の話とLTCM破綻の話を思い出させました。(金融工学の申し子「LTCM」が破産してしまった理由を正規分布に従うブラックショールズの方程式が破綻したからだと考えると、価格変位はベキ分布に従うと説く経済物理学の確かさが浮き彫りになるような気がしました。)

ちなみにソロスの再帰性とは・・・

①市場は常に間違っている
②その間違いは、増幅してトレンドとなる。
③トレンドが行き過ぎて価格が臨界点に達すると、価格は破裂する。

といった理屈が基になっている。これを見るからに、どう考えても経済物理学の考え方というものが含まれているような気がします。

「理論」よりも「現実」を見る―。ソロスと経済物理学を繋げるキーワードです。

ソロスは、誰もが経済物理学なんてものを唱える前から、実は一番市場のことを知っていた人なのかもしれないなと思いました。

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