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<失ったもの>および<損なわれたもの>を主人公が取り戻そうとする話。3冊で計1100ページを超す村上春樹の長編小説。
ストーリーはかなり非現実的で脈略もないのだけれども、とくに不自然には感じられない。むしろ、その非現実的に描かれている世界の方が実際の世界より真実味があるなんじゃないかと思えてくるから不思議だった。
そんなことを考えていたら、ちょっと前に見た映画『Vフォー・ヴェンデッタ』に出てくる次の台詞を思い出した。
「政治家はウソを語り、小説家はウソで真実を語る」
ホントにその通りだなと思う。
優れた小説家はフィクションを通して僕らに真実を語ってくれる。その真実というものは、普段は凡人の僕らには目にすることは出来ないものである。優れた小説家が(その目に見えないものを)翻訳して文字におこしてくれてやっと僕らは目にすることが出来る。
いろいろ考えをはせていると、事実を知ったところでその物事の核心にせまれないってことがあることが分かる。(ちょっとややこしいけど)何も事実が常に真実を教えてくれるわけじゃないのだ。
そういった意味において、この作品に書かれていることはフィクションであり事実ではないけれど、どんな史実やニュースといった事実よりも物事の核心に近いことを僕らに伝えてくれる。そこにこの作品の魅力がある。
本書を読んで思ったことは一度失ったものは二度と取り戻せないということ。
少なくともそれを失ったときと同じ状態で取り戻すことは二度と出来ない。物事はたえず変化しているのだから。
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