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ゲーム理論の愉しみ方

ゲーム理論の愉しみ方 得するための生き残り戦術 ゲーム理論の愉しみ方 得するための生き残り戦術
D・B・バラシュ (2005/12/10)
河出書房新社
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ゲーム理論の研究者バラシュが豊富な事例を紹介しながら、ゲーム理論の概念を説明した本。身近な日常生活の話から、核開発競争やキューバ危機といった外交戦略の話、進化論といった生物学の話、企業競争など経営学の話、合理的とは何か理性とは何かといった哲学の話まで多種多様な事例が紹介されている。

ゲーム理論とは、ある条件下において手に入る利益が最大になるような(もしくは手にする損失を最小にするような)合理的な行動とは何かを求める考え方である。

有名なところだと「囚人のジレンマ」の問題があげられている。これはwikiに詳しい解説があるのでそっちを参考にしてもらうとして、印象に残ったのは次の話だ。

囚人のジレンマにしても共有地の悲劇などに代表される社会的ジレンマにしても重要なのは次のパラドクスがあてはまる点だ。

他者が裏切ろうが協調しようが、個々にとって最善の(つまり最も合理的な)策は「裏切り」である。しかし、各個人が自分にとって「最適な選択」(つまり「裏切り」)をすることと、全体として「最適な選択」(パレート効率的)をすることが同時に達成できないのだ。

僕たちが、ゴミの分別をサボってしまうのも、公共の場にポイ捨てしてしまうのも、電車でキセルをしてタダ乗りをいてしまうのも、つまり、それらは「全体にとって最善の策」にはならないけれど「個々にとっては最も最善の策」だからなのである。個人の短期的な利益が長期的な全体の利益と相容れないというジレンマに僕たちは陥っているのである。

個人にとって最も合理的な選択が「裏切り」戦略である、というのは何とも皮肉な結論のように思える。

僕は、人というものは集団に対して協調行動を取るように、もしくは長期的視野で物事を考えられるように、もしくは論考する領域を地球全体へ広めるように進化していっていると思っているが、人がそのように進化して「長期的な全体の利益」を追求するようになればなるほど「ダダ乗り(=裏切り)」する戦略が有効なってしまうといのも皮肉な話である。まるでエッシャーのだまし絵のような堂々巡りの世界だ。

この堂々巡りのジレンマから脱出する方法はないのだろうか?

それに関しては、アクセルロッドという人がが興味深い研究結果を残している。アクセルロッドの研究によると、囚人のジレンマで「裏切り」が生じるのは、ゲームが繰り返されるときよりも一回きりのときの方が多いことが分かった。各人の思考に「将来」が視野に入っていれば、つぎのゲームの回に相互協調で利益を得ようとする作用が各人に働くからだ。この研究結果は大変示唆に富んでいると思う。

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    • 「無知による機会損失は計り知れない。」

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      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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