イノベーション創出の経営学 その2

イノベーション創出の経営学―ブランド・マネジメントからベンチャー・インキュベーションまでイノベーション創出の経営学―ブランド・マネジメントからベンチャー・インキュベーションまで
藤末 健三 板倉 宏昭 藤原 善丞


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その1では「ベンチャー企業が経済発展においていかなる役割を担っているか」ということについて書いたが、本エントリーではもう少し本書の内容に沿った形で、ベンチャー企業ないしはベンチャーキャピタルについて勉強になったところを取り上げてみる。

国際競争力の低下する日本

日本は1990年代以降に入ってから国際競争力ランクが大幅に下がっていった。(正確には2002年に底を打って、現在は回復基調であるが。[参照]) では、なぜ戦後の日本の産業構造を大きく変えたソニー、ホンダ、京セラなどのような革新的な技術にもとづくハイテクベンチャーがここ数十年出てこないのはなぜだろうか。その答えを見つけるために、ここ最近の日本の産業構造を分析してみる。

最近において、起業への関心が低い日本人

日本のハイテクベンチャーが育っていない原因について産業構造の面で分析してみると、日本の企業社会は大企業と中小企業が中心であり、特にハイテクベンチャーを起業しうる優れた技術者の大半は大企業に勤務しており、彼らの起業への関心がまだ低いことがあげられる。アメリカではベンチャー企業が経済に大きな影響を与えているのに対し、日本のベンチャー企業が経済に与える影響はまだ少ない。日本において起業家を輩出できる社会をつくることがもっとも大事ではないかと考えられる。そのためには、ベンチャー企業や起業家が社会的に認知され、高い地位を保つ起業家社会が実現されなければならない。

起業率とGDP成長率の関係

ここにある「IMD(国際経営開発研究所)ランキング」によると、日本の起業率が国際的にものすごく低いことが分かる。というか、世界的に見て最低といっても言いレベルだ。別に、起業率というものが大した指標でないのなら問題にはならないが、そうではないというのなら問題である。それに関して、大和総研の面白いレポートがあったので下に紹介する。

ここに興味深いデータがある。起業活動の活発な国ほどGDP伸び率が高いのである。GEM(Global Entrepreneurship Monitor=国際的起業家調査)によると、起業活動とGDP伸び率(2000年)には相関がある。半年以内に創業予定の人や創業42カ月以内の会社に勤めている人の割合が高い国ほどGDP伸び率が高いのである。米国や韓国は顕著に現れている(図4)。残念ながら日本は、創業間もない会社に勤める人が極端に少なくGDP伸び率も低い。この結果から、創業関係者を増やすこと、すなわち起業家を増やすことが国のGDP伸び率を押し上げることになるのである。
参照:「世界各国のGDP成長率と起業活動の関係」by大和総研経営コンサルティング部

今回は、日本の国際競争力低下の要因の1つに「起業率の低さ」があることを取り上げた。戦後の日本が先に書いたようなハイテクベンチャーを輩出してきたことから考えるに、ベンチャーというもの、あるいは起業というものが日本の風土に合わないということなない。今後は仕事を通して学びながら、「では、起業率を上げるにはどうすればいいのか?」ということについて、おりおり考察していこうと思う。

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ヒルズ黙示録(もくじろく)

ミーハーな気分で読んでも、まじめなノンフィクションとして読んでも楽しめます。フェアに書かれていると思うし、勉強にもなるので楽しく読めて一石二鳥な感じでした。楽天ブックス今なら送料無料!長旅のおともにと購入、これが真実!?いやー、深い、魑魅魍魎の人々、策士

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