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金融変貌と銀行の未来

金融変貌と銀行の未来金融変貌と銀行の未来
村井 睦男


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銀行の金融仲介機能の変化、情報・通信技術革新が与えている影響などを踏まえ、銀行の将来像を描いた一冊。銀行を中心に、日本の金融システムの構造を解析し、これまでの銀行とこれかの銀行といったものを、具体的に解説されていたのでとても分かりやすかった。

セブン銀行にしかり、イオンの銀行にしかり、KDDIのモバイル銀行にしかり、銀行業界に異業種の銀行参入が続いている。こういった新規参入組は、競争上、既存の銀行にとって脅威となる可能性が高く、銀行はサービスの質向上や価格競争上の緊張を強いられ改革を迫られることになる。こういった銀行間の競争というものは、経済全体にとっては歓迎されるべきものとして評価されてよい。

しかし、やみくもに競争が激化し、銀行間での消耗戦になるようでは日本の金融システムは破綻しかねない。というのも、日本の金融システムを見てみると、銀行が多くのリスクを抱えている構造になっているのだ。つまり、わが国の金融システムは、資本主義経済において本質的に重要なリスクの効率的配分メカニズムを持っていないということだ。

したがって、業態を超えた金融の枠組みを早急につくる必要があり、リスクの受け皿としての資本市場を効率的に利用するべきである。資本市場で総合的にリスクをシェアする制度設計が必要があるという。(p6あたり参照)この辺に関して言えば、リスクが銀行に一極集中してしまう歴史的な背景があるのだけれども、今後の展開としては、本書にはあまり触れられていない「銀行の海外展開」が必要なように思う。つまり、国内だけではどうしてもヘッジ出来ないリスクを海外に分散する必要がある。

本書を読んでもっとも勉強になったのがリレーションシップ・バンキングの概念である。顧客とのリレーションシップは、すべてのビジネスに共通な基本要素であるが、特に金融取引においては重要であるという。日本は長らくメインバンク制といったやり方で顧客(借り手)とのリレーションを取ってきたわけで、そこにはいろいろメリット・デメリットがあるのだけれども、リレーションの基本にあるものは、相互信頼である。それに関して、Fukuyamaという方の主張が参考になったので抜粋してみる。Fukuyamaの主張は「自発的社交性」に富み、より強い信用関係が成立する社会でこそ、企業も市場も大きく発展すると主張する。

人的資本の一部は人が互いに協調する能力に関係があり、協調能力はそれぞれでコミュニティが価値と規範をどの程度まで共有しているかによって、また個人の利益をどの程度まで集団利益に従属させることができるかによって決まるが、こうした価値の共有から信頼は生じる。それが重要な経済的価値を有する。

Fukuyama氏が言うように、「信頼が重要な経済的価値を有する」ならば、昨今の新興市場のダメダメぶりが「信頼感の欠如」が原因であるというのも納得できる。ライブドアにしかり、ドリコムにしかり、USENにしかり、内容はそれぞれだけど個人投資家を裏切り続けた行為に対する代償はあまりにも大きい。

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