『風の歌を聴け』『1973年のピンホール』『羊をめぐる冒険』と続いた初期三部作の完結編。すべてを失ってしまった「僕」の仕事は"文化的雪かき"。誰もやりたがらないけれども、誰かがやらないと後々誰かが困るようなことは特別な対価や賞賛を期待せずひとりで黙ってやっておこなければならない。
それで僕はいったいどうすればいいんだろう? 「踊るんだよ」羊男は言った。「音楽の鳴っている間はとにかく踊り続けるんだ。おいらの言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。なぜ踊るかなんて考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとないんだ。」(上巻p182)
羊男が発する上の言葉が忘れられない。
確かに、なぜ踊るかなんて考えても無駄だ。意味がない。ダンスを辞めたらそこで何もかも終わっちゃうんだ。小説の主人公と同じように、僕らもステップは踏み続けなければいけない。