キャズム

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ジェフリー・ムーア 川又 政治
翔泳社 2002-01-23

by G-Tools

顧客性質の違いがキャズムを生む

普及学の基礎理論として知られるエベレット・M・ロジャーズ(Everett M. Rogers)のモデルでは、顧客は「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つの採用者タイプに区分される。この理論ではイノベーターとアーリーアダプターを合わせた層に普及した段階(普及率16%超)で、新技術や新流行は急激に拡がっていくとしている。

少数のビジョナリー(進歩派)で構成される初期市場から、多数のアーリーマジョリティ(別名、実利主義者)で構成されるメインストリーム市場へと移り変わるところに「キャズム」という溝がある。市場が不連続になっているのはキャズムの両端、アーリーアダプターとアーリーマジョリティの顧客性質が全く異なるためだ。

キャズム理論

アーリーアダプターは変革の手段として、アーリーマジョリティは生産性改善手段として

アーリーアダプターが製品を購入しようとするのは変革の手段である。アーリー・アダプターは、同業他社に先んじて自社に変革をもたらしライバルに差をつけようとする。今までのやり方と新しいやり方のあいだに大きな不連続性が発生することをいとわず、リスクを取って変革を実現しようとする。多少のバグも覚悟している。それに対して、アーリーマジョリティは、現行オペレーションの生産性を改善する手段を購入しようとする。彼らは、古いやり方と新しいやり方のあいだの不連続性をできるかぎり小さくしようとする。彼らが求めているのは進化であって変革ではない。

先行市場での成功体験がキャズム超えを難しくする

初期売上が順調に伸び、関係者は上昇気流に乗ったと判断するのだが、これは大きな間違いである。これは初期市場における特殊な受注であり、それが必ずしもメインストリーム市場での成功を約束するものではない。

キャズムを超えるというのは、ビジョナリーによって「支持された」領域から、実利主義者が「慎重になっている」領域に身を移すことである。つまり、キャズムを超えようとする試みは、自然な流れに逆らう行為である。メインストリーム市場がもたらす利益を享受するためには、時期に合わせて最適なマーケティング戦略を取らなければならない。

ターゲットを絞り実利主義者でも納得できる価値を提供する

キャズムを超える方法は、攻略できそうなニッチ市場をターゲットとし、そこを起点として戦線を拡大する。重要なのは、十分に絞り込んだ敵に対し、最強の兵力を投入することである。キャズムを超えられずに失敗する大きな理由は、メインストリーム市場には多くの可能性があるため、焦点を絞り切れずあらゆる可能性を追い求め、結局どの実利主義者に対しても相手が納得するソリューションを提供できないで終わるからである。まずニッチ市場から攻めるというアプローチをとらないでキャズムを超えようとするのは、たきつけを使わないで火をつけるようなものだ。キャズムの時期にはマーケットの育成に注力することが重要。販売重視の戦略をたてるのは致命的である。

キャズムを超えるためにはマーケットのセグメンテーションを行うが、間違えてはならないのはターゲットの顧客だ。攻略地点を決める際には、ターゲット顧客について記述したシナリオをできるかぎり多く集める。有望なシナリオを選定しボーリング・ピンモデルを作成する。一番ピンを倒すことに専念する。

初期市場からメインストリーム市場に移るにあたって商品の性質も変化させなければならない。実利主義者が必要としているのはコアプロダクトに加え、購入の必然性に応えるいくつかの機能・付加価値が付随されているものである。

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