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日本の魚は大丈夫か

414088360X日本の魚は大丈夫か―漁業は三陸から生まれ変わる (NHK出版新書 360)
勝川 俊雄
NHK出版 2011-09-08

高齢の漁業組合員たちが若かったころは、日本経済が成長して、勝手に魚の値段が上がっていたから、ただ魚を獲っていれば良かった。しかし、そういう時代はとうに終わった。これから先、漁業を成功させるためには、ただ獲るだけではなく、資源の持続性や、高い値段で売ることまで考える必要がある。

日本では補助金漬けの斜陽産業とみなされている漁業だが、ノルウェーや豪州など、漁業を成長産業に変えた先進国は数多い。日本漁業が世界から大きく立ち遅れた根本原因は、零細漁業者の過当競争による未成魚乱獲と、その必然である魚価低迷にあるとして、実効性ある漁獲枠導入など、国による適切な漁業政策の必要性を強く訴える。

日本の漁業の構造

魚群探査機などテクノロジーの進化によって漁獲能力は劇的に向上したが、実効性のある規制がない現行制度下では結果として少ない資源の奪い合いの状況。ほぼ無規制のまま、限られた資源を奪い合っている。これでは資源を維持できないのは当然。

一方で漁師は、借金や組合への参加により、漁業継続を余儀なくされている。稚魚であっても捕獲、将来の収益を取り逃がしてしまっている構造。

驚くべきことに漁業組合の本業の事業利益は大赤字。そのマイナスを事業外利益で補っている構造。つまり、本業の水産物の販売で利益が出なくても、経常利益が出ている。だから、魚価の低下に関しても無関心でいられる。

(日本漁業の構造)
過当競争→乱獲→魚価低迷→資源枯渇→経営悪化→補助金漬け

魚価を下げているのは稚魚の乱獲

マグロの捕獲も、稚魚を獲るのではなく、成魚を待てば莫大な価値を生む。

ヨコワ(1歳)体重3kg kg単価550円 漁獲金額27億円
マグロ(7歳)体重97kg kg単価5000円 漁獲金額2280億円

6年間、海で泳がせておくだけによるで、水揚げ金額は100倍になる。未成魚の乱獲を抑制すれば、生産額は大幅に向上する。

個別漁獲枠(IQ制度)の導入で上手くいく

漁業を持続的で儲かる産業にするには「十分な親魚を獲り残す」「撮った魚をできるだけ高く売る」という基本原則があり、そのためにはまず、政策主導による適切な資源管理が必須である。

乱獲を抑制し、魚が大きく育つまで待てる獲り方をすれば、魚の価値が上がる。世界的な魚食人気の高まりもあり、ノルウェーのように持続的な競争に参加して成功した国もある。

漁獲規制で成功したノルウェ-

ノルウェーも以前は日本と同じ乱獲→経営悪化→補助金漬け体質であった。舵を切るきっかけは、1970年代の北海におけるニシンの乱獲捕獲量の激減。ここで、政府は捕獲量規制を行った。経済は混乱したが、崩壊の瀬戸際にあった資源を生き返らせることに成功。

個別漁獲枠(IQ制度)を導入することで、漁獲の年齢組成が親魚の比重が高まり、漁獲量が安定する効果が生まれる。実際に欧州のサバ漁業はこれで上手くいっている。

自立することが求められている

補助金を貰い、企業の参入からも守られ、販売戦略を工夫することもない日本の漁業者。一見恵まれていそうだが、実は一番不幸なんじゃないかと思った。消費者ニーズをくみ取り、事業を行っていく。日本の漁業者は、いわゆる経営・マーケティングをしていなかければならない瀬戸際の時期に差し掛かっている。

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