経営効果を考える『世界の経営学者はいま何を考えているのか』

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア
世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア入山 章栄

英治出版 2012-11-13
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ハイパー・コンペティションの時代

ウィギンズとルエフリの研究によると、アメリカでは、持続的な競争優位を実現する企業はたしかに存在するが、その数は2~5%にすぎない。近年になればなるほど、企業が競争優位を実現できる期間は短くなっている。他方で、いったん競争優位を失ってからその後ふたたび競争優位を獲得する企業の数が増加している。すなわち、現在の優れた企業とは、長いあいだ安定して競争優位を保っているのではなく、一時的な優位をくさりのようにつないで、結果として長期的に高い業績を得ているように見えているのである。

これらの発見は、当時の主流であったポーター流競争戦略、すなわち「どうやて競合他社との競争を避けるか」に大きな影響をあたえた。ダートマス大学のダヴェニは、1994年に出版した著書で、企業間の競争が激化することで競争優位の持続性が難しくなってくる状況を「ハイパー・コンペティション」と名付け、以下のことを主張している。

1.企業が競争優位を持続できる期間は短くなっている。
2.このような状況下では、一度優位を失ってもまたそれを取り戻す、優位の連鎖を生みだすことが重要である。
3.そのため、理論的には、より積極的な競争行動をとる企業のほうが高い業績を実現できる。

見せかけの経営効果にだまされない。内生性の問題

計量経済学における内生性の問題と呼ばれるものが、1998年のシェイバーの論文発表以降、経営学でも取り入れられつつある。たとえば、海外進出における「独自資本の選択」が好業績の要因として統計的に実証されたとしても、実際の因果関係で重要な事象は「独自資本の選択」という戦略ではなく、「優れた技術力」であったりするケースある。

優れた技術力が、独自資本の選択と好業績の両方にプラスの影響を与えていれば、本来は関係がなくても、あたかも独自資本の選択が業績にプラスの影響をあたているように見えてします。経営戦略分析の多くが、本質的に内生性の問題をはらんでいる。

そお経営効果は過大に評価されている?モデレーティング効果

経営学者の中では「豊富な知的資産を持ち、その資産を事業に活用できる企業は、多角化により市場価値を向上させることが出来る」という法則がコンセンサスになりつつある。すなあち、多角化が企業価値に与える経営効果そのものが知的資産という別の要因に影響されているのだ。

このように、ある変数から別の変数への効果の強さが、さらに別の変数によって左右されることをモデレーティング効果という。経営戦略の効果はある条件を企業が満たしているときにだけ成立することが少なくない。モデレーション効果を見逃してしまうと、その経営効果があたかもどのような企業にでもあてはまるかのような錯覚が生じてしまう。

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    • 「無知による機会損失は計り知れない。」

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      自分だけに与えられた、自分でしか歩めない道を歩んでいきたいと思う。
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