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危機感がリーダーを生み、リアリズムが成功に導く『司馬遼太郎 リーダーの条件』

司馬遼太郎 リーダーの条件 (文春新書)
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明治と現代

明治という時代を一言で言えば、「尊王・愛国」の時代。対する現代は「民主・経済」の時代というふうに大きな違いがある。国民の側から言うと、明治は「勤労と奉公」の国民であったが、いまは「権利と生活」の国民とも言える。

明治の国家は、国民にとって非常に重たいものだった。江戸時代に比べて税金は高くなるし、以前は武士にしか関係がなかった兵役も国民全員の気味になった。ところが、明治も半ばをすぎ、民衆のレベルでも「世界のなかの日本」というものが理解されるようになってくると、国家というものがしっかりしていないと我々の生活もダメになってしまうのではないか、ということが段々意識されるようになってくる。

また明治という時代は、原始的天皇制国家の下、指導者たちが非常に強いリーダーシップを発揮した。翻って、現代を見ると、象徴天皇と個人の権利が中心の新しい憲法の下、リーダーシップを発揮するような人間は出てこなくなった。21世紀になってふたたび新しい国家像をつくろうとするとき、我々が明治時代にたどった道をもう1回、勉強しなおして見ることは価値がある。

「世界のなかの日本」「強いリーダーシップ」・・・、こうやって明治を考えると、安倍総理やその側近の保守層がやろうとしている施策の多くは明治政府にならったもののように思う。

明治のリアリズム、危機感

明治の時代にこれだけ魅力的な人材が輩出された背景には、国難に対する緊張感が一番大きい。幕末のアヘン戦争や黒船来航、明治のロシア南下といったはっきりとした危機があったからこそ明治の国民国家形成は可能だった。高度成長も、配線、占領の屈辱からの脱却という強い衝動に支えられていた。

それに対して今日は強い動機をもたらすものがない。今日の問題は大きな欠陥が塵積もで累積してできているもので、一般国民には表面的に切迫感をもって現れがたい。

明治時代の日本のあらゆる部門の責任者は、国家存亡の危機に直面して、いかにして国を守るかというきわどさの上に立って、その大テーマにむかって外交政略も軍の戦略もひとつになって有機的に集約したこと、そしてその国家目標を国民に明示したということ、この2点が大きい。それに例えれば、避戦派の伊藤博文が在野の論客がしきりに開戦論を唱えるのに対して「私は諸君の名論卓説よりも、大砲の数にい相談しているのだ」と答えたというリアリズム。これが今の日本に一番大切なこと。

東郷平八郎の決断力とウドサァ

バルチック艦隊との決戦以前、機雷に接触して虎の子の戦艦二隻、初瀬と八島が沈んだ。次の作戦が立たない。秋山真之は顔が凍結した。が、東郷だけは顔色も変えなかった。敗残の艦長たちが三笠にそれを報告すべくたずねたとき、かれらはみな東郷の顔を見ることが出来ず、みな声をあげてこの悲運に泣いた。このときも東郷は平然として「みな、御苦労だった」とそれだけを言って、卓上の菓子皿を艦長たちのほうに押しやり、食べることを進めた。

バルチック艦隊との決戦。あの「東郷は狂したか」といわせた無謀としかいえない(そして成功は奇跡といわれた)敵前での回頭運動。北上するバルチック艦隊の前で、南下してきた日本艦隊がいっせいに取舵一杯、左へ向かって半円を描くように急転。

ここであの「本日天気晴朗」の「浪高シ」が効いてくるのだが、波が高いためにもともと遠距離射撃の下手なロシア側の砲撃不正確を見越した東郷の決断だった。ロシア艦隊の最初の射撃をくぐりぬけると、縦に進んで来るロシア側に対して日本は横一線になる。戦艦の全ての砲をロシア艦隊の先頭を行くロジェストウェンスキー監督の乗る旗艦スワロフと平航するオスラービアに集中砲火を浴びせることが出来た。あの狂ったと言われた敵前回頭は、旗艦を打って敵艦隊を殲滅するための戦術原則に忠実なとても理性的な戦闘指令だった。

また、スワロフが北へ回頭した際、あれは舵の故障だと見抜いた第二艦隊の上村司令官と佐藤参謀は三笠の指令を留意して異例の単独行動をとった。この敵を絶対に逃すことが出来ない、この最終目標を彼らも徹底していた。東郷の最終目標、「一艦も残さず」が如何に部下に浸透していたのかが分かる。

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